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肝・胆・膵センターの取り組み

肝・胆・膵センターの取り組み 肝臓、胆道(胆管、胆嚢)、膵臓に発生する疾患を専門に扱います。それぞれの臓器が近接しており、発生した病気がお互いに影響を与えることも多くなります。こうした疾患を扱うには高度の専門性が必要ですので、独立したセンターとして診療にあたっています。

病気の背景に、脂肪肝、B型やC型のウイルス性慢性肝炎・肝硬変などが存在していることも多く、内科・外科の協力・連携が極めて重要な領域です。肝機能障害の原因診断、抗肝炎ウイルス療法、胆石・胆嚢炎や膵炎治療、閉塞性黄疸の診断と治療(ERCP、PTCD)、経十二指腸乳頭的胆管結石採石術、食道静脈瘤治療(EVL、EIS)、腹水や肝性脳症などの肝不全治療、および悪性腫瘍に対する治療等、多岐にわたっています。

肝癌に対する経皮的治療をはじめとして、巨大肝癌切除や胆道癌・膵癌に対する膵頭十二指腸切除も行います。切除不能の場合には、化学療法も積極的に行っています。特に、肝癌治療に対しては20年以上力を入れてきた領域であり、既に約1,000例に及ぶ治療経験を持っています。

センター内では、内科・外科・放射線科合同でカンファレンス(症例検討会)を行い、最適な治療方法を選択するよう努めています。

内科部門

スタッフ全員が腹部超音波検査は勿論のこと、慢性肝炎に対するインターフェロンや抗ウイルス剤治療などの薬物治療、食道静脈瘤に対する内視鏡的結紮術や硬化療法などの内視鏡操作、胆膵系の診断や治療に欠かせない内視鏡的逆行性胆膵管造影(ERCP)操作、肝癌に対するマイクロ波やラジオ波を用いた焼灼療法等全ての治療手技に精通して、隙間のない医療を提供しています。


Ⅰ;肝臓

B型肝炎、C型肝炎に対する抗ウイルス治療
原因不明の肝機能障害の精査
肝硬変の合併症治療

食道静脈瘤治療 ①EIS(硬化療法) 
  ②EVL(バルーン結紮術)
  ③EIS+EVL+APC(アルゴンプラズマ凝固)併用
胃静脈瘤 B-RTO( バルーン閉塞下逆行性静脈瘤閉鎖術 )
肝細胞癌 ①エコーガイド下経皮治療( PEIT, PMCT, RFA )
  ②動注化学療法( ワンショット動注、TAE、リザーバー動注 )
  ③分子標的薬治療

Ⅱ;胆道

閉塞性黄疸に対する減黄術( PTCD, ERBD )及び、ステント留置
総胆管結石に対する内視鏡治療( EST, EPBD )
胆嚢癌、胆管癌に対する化学療法


Ⅲ;膵臓

膵腫瘤性病変の精査
切除不能膵癌に対する化学療法


1 慢性肝炎

B型慢性肝炎・肝硬変に対する治療は、核酸アナログ製剤の登場により様変わりしてきました。一日1回の内服により肝炎のコントロールが可能となり、ほぼ正常者と変わらない生活を送っていただけるようになっています。現在、年間90例あまりの方に投薬を行っています。

C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療は、現在ペグインターフェロンとリバビリンを併用した治療が中心です。平成16年12月に保険収載となって以降、平成22年末までに約250例の方に治療を行っており、豊富な経験を有しています。


2 胃・食道静脈瘤炎

肝硬変の合併症として問題となる静脈瘤に対しても、当センターで治療にあたっています。胃静脈瘤は、バルーン閉塞下逆行性静脈瘤閉鎖術(B-RTO)が主体ですが、食道静脈瘤に対しては内視鏡的結紮術だけでなく硬化療法も状況によって使い分けています。内視鏡的結紮術(EVL)は合併症も少なく、現在の食道静脈瘤治療の中心ですが、治療後の頑固な再発例などで硬化剤を使用する内視鏡的硬化療法(EIS)が必要となる場合があるためです。


3 胆道・膵疾患

3 胆道・膵疾患 結石や癌の診断、治療が中心となります。閉塞性黄疸や胆管炎などで発症した方の胆管系へのアプローチとしては、エコーガイド下経皮経肝的胆管穿刺術(PTC)と内視鏡的逆行性胆膵管造影(ERCP)の二通りがあります。どちらも長所・短所があり、より適切な方法を選択することが重要です。当センターでは、両者を適切に選択して対応しています。

総胆管結石に対しては、ERCP下に十二指腸乳頭バルーン拡張術(EPBD)と乳頭切開術(EST)の両手技を、病態に応じて適切に選択して採石術を行います。閉塞性黄疸の減黄術に関しては、PTCからのドレーン留置(PTCD)や内婁化、ERCPからのERBDを使い分けています。

4 肝臓癌(特に肝細胞癌)

平成元年より特に肝癌の診療に力を入れてきました。基礎疾患であるB型肝炎やC型肝炎の治療により肝癌の発生や再発を抑制したり、繰り返す肝癌の発生に対する集学的治療として外科切除と内科経皮治療(マイクロ波・ラジオ波焼灼)のどちらの方法が適切なのかカンファレンスで検討し十分なインフォームド・コンセントのうえで、治療に望んでいます。現在の内科治療の主体であるラジオ波焼灼術については平成11年に使用を開始し、10年以上の経験を持っています。

肝細胞癌は再発も多く、長期的な治療戦略に基づく治療方法の決定が、極めて重要と考えております。


外科部門

当院は、日本肝胆膵外科学会より高度技能修練施設に認定されている肝胆膵外科の専門施設です(肝胆膵外科高度技能指導医2名在籍)。 肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵癌などの肝臓・胆道・膵臓領域の悪性疾患を中心とするほか、胆石症などの胆道良性疾患を対象に診療を行っています。


肝臓外科

1989年の病院開院以来、肝臓癌に対しては内科・放射線科と協力し、積極的に肝切除を中心とした治療を展開しています。初回肝細胞癌に対して肝機能が良好な場合は特に難易度の高い系統的肝切除を行っています。原発性肝細胞癌に対しての肝切除術の治療成績は5年生存率61.7%、10年生存率32.0%、15年生存率21.5%、20年生存率17.1%(2011年5月現在)であり、全国レベルと遜色ない結果となっています。

癌の進行度と肝機能を評価したJIS分類においても良好な成績を挙げています。初回肝切除から20年以上経過している患者さんも元気に来院されています。


系統的肝切除術、初回肝切除の生存率


また、根治性を追求した系統的肝切除術に加え、肝表面に存在する肝臓癌(肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝腫瘍)に関しては腹腔鏡下手術も導入しています。開腹下肝切除術に比べて小さな創で手術が可能で、術後の創痛も軽減し、患者さんに優しい手術となっています。手術器具の進歩により安全な手術が可能となっています。

肝機能が不良で肝切除不能な場合、もしくは経皮的アプローチが困難な肝細胞癌に関しては開腹や小開胸アプローチによる局所療法(マイクロ波凝固壊死療法、ラジオ波焼灼術)を施行しています。腫瘍個数が多い場合は血管造影による治療を先行して行い、残存した病変に対して局所療法を行っています。
腹腔鏡下肝切除術

胆道・膵臓外科

胆道・膵臓悪性疾患においては正確な術前診断が極めて重要となります。3D-CTやMRIでの局所病変診断を放射線科と連携して行い、黄疸症状を認める場合は肝胆膵センター内科部門と連携し、内視鏡的逆行性胆管膵管造影や経皮的経肝的胆道ドレナージを行います。

根治手術が可能な場合は、高難易度手術の拡大肝葉切除術や膵頭十二指腸切除術を積極的に行っています。治癒切除を目指し必要に応じて血管合併切除再建術も行います。術後病期診断に応じて術後補助化学療法を行っています。根治手術が不能な場合や、再発を来した場合は、肝胆膵センター内科部門と連携し、胆道ステント留置を行い、全身化学療法を行っています。

胆道良性疾患としては胆石症、胆嚢炎、総胆管結石があります。急性胆嚢炎に関してはガイドラインに準じ、早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。