脳神経外科 - 福岡市民病院
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脳神経外科



手術の写真

脳神経外科では、手術が必要な「脳血管障害」をはじめ、「頭部外傷」や「脳腫瘍」、「脊椎・脊髄疾患」などの脳神経外科疾患全般に対応しています。「脳血管障害」や「頭部外傷」は昼夜を問わず発生し、時として生命をも左右する状態となったり、重い後遺症を生じることがあります。当科の特徴は、脳神経外科・神経内科・脳神経血管内治療部医師による各ジャンルの専門医に加え、放射線科医師、薬剤師、看護師、リハビリ療法士、ソーシャルワーカー、管理栄養士などとともにチーム医療を実践していることです。毎日早朝にカンファレンスと回診を行い、それぞれの医療従事者が専門的立場から議論し、最も適切な治療方針を決定しています。その結果、患者さん一人一人にとって最も適した医療を系統だって御提供することが可能となっています。

脳神経外科では最新の手術用顕微鏡やナビゲーションシステムに加え、昨年度、神経生理学的モニターを最新システムへ更新し、より安全な手術を行っています。当院は福岡地域でも数少ない脳卒中専門の集中治療室「SCU」を有しており、後遺症の予防と軽減のため早期からリハビリを開始しています。患者さんの状態が落ち着き次第、回復期リハビリテーション病院での治療継続をお願いしますが、医療機関同士の情報共有に「福岡市医師会方式 脳卒中地域医療連携パス」を用いています。


平成29年度 脳神経外科手術188例の内訳

 平成29年度 脳神経外科手術188例の内訳図

 

脳血管障害

脳血管障害は脳卒中とも呼ばれます。脳卒中は最近死亡率こそ減少したものの、発症数からみれば三大成人病(脳卒中、悪性新生物、心疾患)の中でトップを占めるわが国の国民病で、寝たきりになったり介護が必要になる疾患のなかでは、断然トップをキープしています。

脳卒中は脳の血管が詰まったり(梗塞)、あるいは破れたり(出血)して脳の機能が障害される病気の総称です。脳卒中という言葉は、「脳が急に(卒然と)悪い風に当たる(中る)ためにおこる病気」だと昔の人たちに解釈されたことに由来します。脳卒中は有効な治療が出来る時間が極めて限られているため、治療は時間との戦いです。

脳神経外科では重症で、手術が必要な大きな脳出血やくも膜下出血を診療します。脳梗塞の場合も、脳の血管が細くなっていたり詰まっているときは血管を拡げる手術や頭皮の血管を脳の血管につなぐ手術が必要となることがあります。

くも膜下出血(図1)は頭をハンマーで殴られたような突然の頭痛で発症します(図2)。原因は主に脳動脈にできた瘤(こぶ)が破裂するためで(図3)、最初の脳動脈瘤破裂で命にかかわる状態となることもあります。脳動脈瘤は大変再破裂を来たしやすいので、再破裂予防を目的として手術が必要となります (図4)。脳動脈瘤の手術は小さな金属製のクリップで脳動脈瘤を閉じてしまうクリッピング術と、脳の血管に細い管を入れ、脳動脈瘤にコイルを詰める血管内手術があり、症例に応じてこれらの手術治療方法を選択します。当院では大脳皮質運動野の電気刺激による筋誘発電位測定や、通常の顕微鏡手術に加え神経内視鏡を用いた手術を行っています。これらにより手術の合併症を防止し、安全で確実な手術を行うことが可能となっています。脳出血は、主に高血圧症により脳の細い血管が破れるために生じます。出血した部分の脳実質は破壊されるため、出血部位によりさまざまな症状が出現します。出血が大きくて生命にかかわる場合や、運動をつかさどる大切な神経線維が圧迫を受けている場合は手術を行なう必要があります。

当院では脳卒中ケアユニットを設けており、脳卒中に特化した専門的、集学的治療を実践しています。手術後は積極的に早期からベッドサイドでのリハビリテーションを開始し、早期離床をめざします。

図1、図2、図3、図4

 

脳血管内治療

平成28年より脳神経血管内治療が開設され2年が経過しました。当部では、脳血管内治療指導医1名(脳神経外科専門医)、専門医1名(神経内科専門医)で治療にあたっており、脳神経外科、神経内科とカンファレンスを行いながら治療適応(治療すべきかどうか)、最も適切と思われる治療方法(内科的治療、外科的治療、血管内治療)を判断しております。平成30年度より研修医訓練施設となり若い先生、新たに脳血管内治療を学ぶ先生にも教育施設として専門医の取得が可能となっております。

治療対象となる疾患・治療方法

コイルの図

1.  脳動脈瘤(破裂、未破裂)
   “脳動脈瘤コイル塞栓術”血管の中から瘤にプラチナ製のコイルを充填し治療を
   行います。

ステントの図

2.頚動脈狭窄症
   “頸動脈ステント留置術”血管狭窄部の内側からステント(筒状のメッシュ)を誘導し
   拡張する治療です。

血栓をステント回収機器の図

3.急性期脳梗塞(主幹動脈閉塞)
   “経皮的脳血栓回収術”脳主幹動脈に詰まった血栓をステント回収機器
   (ステントリトリーバー)や血栓吸引カテーテルを用いて摘出します。

4.

硬膜動静脈瘻


平成29年度脳神経血管内治療部手術内訳の図

5.その他(頭蓋内外主幹動脈狭窄、脳腫瘍など)
   近年特に急性期脳梗塞の治療が進歩しており、発症から治療開始までの時間が早いほど症状が軽度ですむ可能性が高くなります。血栓を溶解するtPA静注療法に加え、脳血管内治療にて詰まった血栓を摘出し、脳梗塞の範囲を最小限にすることができます。
   突発する頭痛、急に片側の脱力症状、言語障害、顔面麻痺など出現した時は、何時でも直ちに救急車でご来院ください。

 

神経外傷

頭を強く打撲したとき、頭蓋骨骨折や頭蓋内血腫、脳挫傷を生じることがあります。血腫が大きく、脳の圧迫が強い場合、緊急に開頭して血腫を除去する手術が必要になります。また軽く頭を打撲したときも、2~3週間かけてゆっくりと血腫が生じることがあります。この場合、歩けなくなったりぼけ症状がでたりしますが、治療法としては、頭蓋骨に小さな穴を開けて血腫を洗浄します。

 

脳腫瘍

脳腫瘍は腫瘍の種類によって最も適した治療方法があります。放射線や抗がん剤など薬での治療より、手術の方が最も効果的と考えられる場合、外科的手術が必要となります。

手術をすることで手足の麻痺や言葉の障害をはじめとした、いろいろな神経脱落症状をださないようにすることが大切です。当院ではナビケーションシステムや神経内視鏡に加え、症例に応じて神経生理学的モニターを駆使しており、安全で確実な手術を行うよう努めています。

 

脊椎・脊髄疾患

脊髄は脊椎のなかにある脳と連続した中枢神経組織です。当院の整形外科と協力して脊髄腫瘍や血管奇形などの疾患に対応します。一般に手術を必要とする脊髄自体の病変は非常に少ないのですが、脊髄は非常にデリケートな組織であるため、手術に際しては電気生理学的モニター下、非常に高度な技術を要します。