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脳神経外科



的確な判断と高度な技術

脳神経外科では、手術が必要な「脳血管障害」をはじめ、「頭部外傷」や「脳腫瘍」、「脊椎・脊髄疾患」などの脳神経外科疾患全般に対応しています。「脳血管障害」や「頭部外傷」は昼夜を問わず発生し、時として生命をも左右する状態となったり、重い後遺症を生じることがあります。当科の特徴は、脳神経外科・神経内科医師に加え放射線科医師、薬剤師、看護師、リハビリ療法士、ソーシャルワーカー、管理栄養士などとともにチーム医療を実践していることです。毎日早朝にカンファレンスと回診を行い、それぞれの医療従事者が専門的立場から議論し、最も適切な治療方針を決定しています。そのため患者さん一人一人にとって最も適した医療を系統だって御提供することが可能です。

脳神経外科のスタッフは常勤医師4名と非常勤医師1名(福島武雄福岡大学脳神経外科名誉教授)の5名で、最新の手術用顕微鏡やナビゲーションシステム、脳血管撮影装置等を導入し、多くの外科的手術や血管内手術を行っています。また手術時には神経生理学的モニターを行い、より安全な治療を行っています。超急性期や周術期においては「ICU」の他、福岡地域でも数少ない脳卒中専門の集中治療室「SCU」において、後遺症の予防と軽減のため早期からリハビリを開始しています。患者様の状態が落ち着き次第、回復期リハビリテーション病院での治療継続が必要となりますが、その病院間の連携には「福岡市医師会方式 脳卒中地域医療連携パス」を用いています。この運用実績は市内トップの状態が続いています。

脳神経外科の手術は迅速さ、正確さが要求されるばかりでなく当然経験が要求されます。患者様や御家族に信頼され、御満足いただけるようがんばってまいります。脳神経外科は、難しそうでちょっとこわいように感じられるかもしれませんが、お気軽にご相談ください。


平成28年度 脳神経外科手術197例の内訳

 

 

脳血管障害

脳血管障害は脳卒中とも呼ばれます。脳卒中は最近死亡率こそ減少したものの、発症数からみれば三大成人病(脳卒中、悪性新生物、心疾患)の中でトップを占めるわが国の国民病で、寝たきりになったり介護が必要になる疾患のなかでは、断然トップをキープしています。

脳卒中は脳の血管が詰まったり(梗塞)、あるいは破れたり(出血)して脳の機能が障害される病気の総称です。脳卒中という言葉は、「脳が急に(卒然と)悪い風に当たる(中る)ためにおこる病気」だと昔の人たちに解釈されたことに由来します。脳卒中は有効な治療が出来る時間が極めて限られているため、治療は時間との戦いです。

脳神経外科では重症で、手術が必要な大きな脳出血やくも膜下出血を診療します。脳梗塞の場合も、脳の血管が細くなっていたり詰まっているときは血管を拡げる手術や頭皮の血管を脳の血管につなぐ手術が必要となることがあります。

くも膜下出血(図1)は頭をハンマーで殴られたような突然の頭痛で発症します(図2)。原因は主に脳動脈にできた瘤(こぶ)が破裂するためで(図3)、最初の脳動脈瘤破裂で命にかかわる状態となることもあります。脳動脈瘤は大変再破裂を来たしやすいので、再破裂予防を目的として手術が必要となります (図4)。脳動脈瘤の手術は小さな金属製のクリップで脳動脈瘤を閉じてしまうクリッピング術と、脳の血管に細い管を入れ、脳動脈瘤にコイルを詰める血管内手術があり、症例に応じてこれらの手術治療方法を選択します。当院では大脳皮質運動野の電気刺激による筋誘発電位測定や、通常の顕微鏡手術に加え神経内視鏡を用いた手術を行っています。これらにより手術の合併症を防止し、安全で確実な手術を行うことが可能となっています。脳出血は、主に高血圧症により脳の細い血管が破れるために生じます。出血した部分の脳実質は破壊されるため、出血部位によりさまざまな症状が出現します。出血が大きくて生命にかかわる場合や、運動をつかさどる大切な神経線維が圧迫を受けている場合は手術を行なう必要があります。

当院では脳卒中ケアユニットを設けており、脳卒中に特化した専門的、集学的治療を実践しています。手術後は積極的に早期からベッドサイドでのリハビリテーションを開始し、早期離床をめざします。

 

脳血管内治療

平成25年10月より脳血管内治療をはじめました。これにより、当院脳神経・脳卒中センタ-の体制が強化されました。
脳血管内治療とは、脳、頚部の病気に対してマイクロカテーテル、バルーンカテーテル、コイル、ステントなどを使って"切らずに治療"を行います。

脳血管内治療の対象となる病気

1.  脳動脈瘤・・・脳血管内治療では、脳動脈瘤の中に細いカテーテルを誘導し、プラチ
   ナ製のコイルを詰めていきます。頭部や頸部に傷を残さずに治療できるのが良い点
   です。
   脳動脈瘤の場所、形状などにより直達手術もしくは脳血管内治療が選択されます。

2.  頚動脈狭窄症・・・細くなった頸動脈をバルーンで拡張させ、ステントとよばれる金属製の筒を留置する
   治療法です。頸動脈狭窄に対しては、まず薬物療法を行いますが、狭窄が強い場合、手術が必要となって
   きます。プラークの性状、全身状態により直達手術か脳血管内治療を選択します。

3.

超急性期脳梗塞・・・脳の血管が詰まってしまっても、数時間以内に再開通すれば、脳梗塞にならずにすむこともあります。基本的にt-PAを用いて治療します。しかし、t-PAが使用できない患者さんやt-PAが効かなかった患者さんに対しては血管内治療を行い再開通を試みます。

4.

脳主幹動脈狭窄症

5.

脳動静脈奇形

6.

硬膜動静脈瘻

くも膜下出血で発症した破裂脳動脈瘤、未破裂脳動脈瘤の治療方法

脳動脈瘤の治療方法には、外科的に開頭して「脳動脈瘤クリッピング術」を行う方法と、血管内治療での「脳動脈瘤コイル塞栓術」とがあります。年齢、くも膜下出血の重症度、脳動脈瘤の場所、形状などをもとに、どちらの治療を選択すればよりよい予後を期待できるかを重視して治療法を選択します。 「脳動脈瘤コイル塞栓術」とは、メスで頭皮を切開せずに治療することが出来ます。鼠径部よりマイクロカテーテルを脳動脈瘤内に誘導し、プラチナ製コイルを瘤内に充填していきます。近年コイルの改良によって治療成績は向上してきており、また治療困難とされる広頚の脳動脈瘤に対してもバルーンカテーテル、ステントを併用した脳血管内治療が可能となってきています。

内頚動脈狭窄症における頸動脈ステント

高血圧・糖尿病・高コレステロール血症などにより動脈硬化が生じ、内頚動脈が狭くなると脳梗塞の原因となります。脳梗塞の予防として、抗血小板剤を内服する内科的治療、直接頸動脈を切開しこの動脈硬化を取り出す外科的治療、カテーテルを使ってステントと呼ばれる金属の網の筒で押し広げる血管内治療があります。脳梗塞を既に起こしているかどうか、狭窄の程度、全身状態、狭窄している血管がどのような状態かなどによって、どの治療方法が脳梗塞の予防に最も効果的かを検討します。

脳の主幹動脈閉塞による急性期血行再建

脳梗塞では発症してから治療開始までの時間が大切となります。顔の歪み・上肢の脱力・発語の異常が生じた場合は、様子をみることなく救急車の要請が必要です。広範囲に脳梗塞が出現すると重篤な後遺症が残存しますが、機能的のみならず生命的にも危険な状態となることがあります。発症から4.5時間以内で広範囲な脳梗塞が出現していない場合は、t-PAという血栓を溶かす薬を投与します。効果が不十分であったり、投与できない場合は血管内治療を行い、カテーテルにて詰まった血栓を吸引し脳血管の再開通を試みます。

 

神経外傷

頭を強く打撲したとき、頭蓋骨骨折や頭蓋内血腫、脳挫傷を生じることがあります。血腫が大きく、脳の圧迫が強い場合、緊急に開頭して血腫を除去する手術が必要になります。また軽く頭を打撲したときも、2-3週間かけてゆっくりと血腫が生じることがあります。この場合、歩けなくなったりぼけ症状がでたりしますが、治療法としては、頭蓋骨に小さな穴を開けて血腫を洗浄します。

 

脳腫瘍

脳腫瘍は腫瘍の種類によって最も適した治療方法があります。放射線や抗がん剤など薬での治療より、手術の方が最も効果的と考えられる場合、外科的手術が必要となります。

手術をすることで手足の麻痺や言葉の障害をはじめとした、いろいろな神経脱落症状をださないようにすることが大切です。当院ではナビケーションシステムや神経内視鏡に加え、症例に応じて神経生理学的モニターを駆使しており、安全で確実な手術を行っています。

 

脊椎・脊髄疾患

脊髄は脊椎のなかにある脳と連続した中枢神経組織です。脊椎外科を専門とした当院の整形外科と協力して脊髄腫瘍や血管奇形などの疾患に対応します。一般に手術を必要とする脊髄自体の病変は非常に少ないのですが、脊髄は非常にデリケートな組織であるため、手術に際しては電気生理学的モニター下、非常に高度な技術を要します。