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外科



診療内容は消化管外科、肝胆膵外科、脾門脈外科であり、平成21年より年間1000例を越える手術が施行されています。今年度のスタッフは桑野博行院長以下、東秀史副院長、二宮瑞樹肝臓外科科長、西田康二郎消化器外科科長、武石一樹、西村章、池田真一郎、これに卒後臨床研修医がローテーションで加わり、外科の診療を行っています。


外科手術症例数の図

 

消化器外科

消化器センターとして、消化器内科と共に幅広く消化器疾患の治療を行っています。 食道癌, 胃癌, 大腸癌に対しては、手術, 化学療法, 放射線療法(他院と連携)を組み合わせた集学的治療によって、各症例に対して最適な治療法を提案しています。 化学療法は、外科・内科・薬剤部・がん専門看護師によるカンファレンスを毎週行い、個々の症例に対する治療戦略を検討しています。 その他、鼠径ヘルニアや尿膜管遺残、正中弓状靭帯圧迫症候群といった症例に対する腹腔鏡手術も積極的に行っています。 急性虫垂炎や腸閉塞などの救急疾患に対しても24時間対応します。

2020年度のメンバーは、東副院長・西田消化器外科科長・枝川・西村・河波の5名です。 チーム診療制を実施しており、全ての患者さんを全員で担当することによって、より質の高い医療を提供することを目指しています。
また本年度のトピックとして、食道疾患センターを設立しました。

【根治性・安全性・低侵襲性の追及】
当科の方針・目標として、根治性はもちろんのこと、安全性と低侵襲性を追及します。

①食道癌
鏡視下(胸腔鏡+腹腔鏡)食道切除再建術を行っています。(症例に応じて小開胸や開腹を組み合わせて御提案する場合もあります)
徹底的なリンパ節郭清を行いながら、手術時間を少しでも短縮できるよう様々な取り組み(再建先行術式や左反回神経テーピング法)を行っています。 当科の執刀医は現在まで300例以上の食道癌手術に携わっており、筆頭術者として100例以上を経験しています。
 
食道癌手術の図

 

②食道胃接合部癌
近年増加傾向にある食道胃接合部癌に対する手術は、術後の逆流症状のコントロールが重要な課題です。当科では逆流の起こりにくい術式として“観音開き法”による再建を行っており、良好な成績を得ています。
 
食道胃接合部癌手術の図

 

③胃癌, 大腸癌
開腹術・腹腔鏡手術という術式の違いに関わらず、原発巣の完全切除と徹底したリンパ節郭清が根治性を追求するうえで最も重要と考えています。同時に神経・血管を可及的に温存し、可能な限り臓器機能を温存するよう努めています。  
胃癌, 大腸癌手術の図

④良性疾患
急性虫垂炎や鼠径ヘルニアに対しては、その大部分を腹腔鏡手術で行っています。 正中弓状靭帯圧迫症候群(腹腔動脈起始部圧迫症候群)や、13cm大の巨大食道脂肪腫といった大変希少な症例に対する手術も鏡視下で行い、学会報告しています。 (日本消化器外科学会、日本食道学会)  
良性疾患手術の図

【食道疾患センター設立】
2020年4月1日より福岡市民病院 食道疾患センターを設立しました。
食道疾患の頻度は胃腸疾患と比べて高くはありませんが、食道悪性腫瘍のみならず、食道良性腫瘍や食道裂孔ヘルニア、難治性の逆流性食道炎などで食事が思うように摂れず、悩まれている方は少なくありません。
当センターは、消化器外科・消化器内科・放射線科が蜜に連携し、個々の患者さんにとって最良の治療法を御提案することを目的としています。
良性疾患に対しては内科的治療を第一選択としますが、難治性の症例や手術が望ましいと判断される症例に対しては、積極的に低侵襲手術を行っております。
食道疾患にお悩みの患者さんや、どこに紹介しようかと迷われる先生方にとって、安心して検査・治療をお任せいただけるセンターとなるよう努力してまいります。  
食道の手術の図

 

肝胆膵外科

肝胆膵センターでは肝臓、胆嚢、膵臓などに関する病気や悩みに対して解決できるように、外科、内科、放射線科が互いに連携を行い診断、治療にあたります。外科的治療が最適と判断した場合は外科部門が積極的に関わり、治療を行います。

肝胆膵外科手術症例数推移の図

 
 
 

【肝がんに対する外科治療】
肝動脈・冠静脈合併切除再建を伴う肝切除術の図

平成元年に福岡市民病院開院以来肝癌に対する外科治療は内科、放射線科と連携して治療を行っており、安心、安全、確実な治療を患者さんに提供するよう、福岡県における専門施設として重要な役割を果たしてきました。原発性肝がんに対しての肝切除術の長期治療成績は5年生存率52%、10年生存率26%と良好な成績を挙げています。また、必要に応じて肝動脈や肝静脈の合併切除・再建を必要とするような高難度肝切除術も積極的に対応していきます。


 

【大腸癌肝転移に対する肝切除術】

近年の化学療法の進歩により切除不能であった大腸癌肝転移症例が化学療法後に切除可能となり(Conversion Surgery)、予後を改善させることがわかっていますが、切除可能肝転移症例に対する術前化学療法(NAC)の至適適応基準はまだ定まっていません。我々は観察研究にて同時性かつ肝転移GradeB/C症例が再発高リスク群であること、その高リスク群にNACを施行することにより予後が改善することを明らかにして報告しました。

切除可能大腸癌肝転移術後の予後の図

 
 

【腹腔鏡下肝・膵切除】

近年傷が小さくて術後の回復が早い腹腔鏡下手術が様々な臓器で行われています。胃癌や大腸癌では広く普及してきていますが、それに比べて肝臓癌、膵癌の腹腔鏡下手術の歴史はまだ浅く、2010年に腹腔鏡下肝部分切除・外側区域切除といった小範囲の手術がまず保険適応となり、2016年になりようやく肝葉切除等のより大きな範囲の腹腔鏡下肝切除術が保険収載された所です。これは肝切除そのものが大出血等のリスクもあり腹腔鏡下での操作性に制限のある条件下での手術は難易度が高く、安全・確実に行うためには肝切除術・腹腔鏡手術両方の手技に精通している必要があるからです。そのため腹腔鏡下肝葉切除等の大きな肝切除術は一定の施設基準をみたす一部の施設でのみ行われています。
当院では2012年より腹腔鏡下肝部分切除を導入しており、また新しく本年度(2020年)より肝亜区域切除、区域切除、葉切除等のより大きな切除に対する施設基準も取得し、安全に施行可能な症例に対して腹腔鏡手術を行ってまいります。

肝細胞癌に対する腹腔鏡下肝左葉切除の予後の図

術前は3D-CTを用いた手術シミュレーションや先進的なEOB-MRIを用いた肝機能評価、術中は合併症を低減させるための様々な独自の工夫を行っています。その結果前任地での3年間の腹腔鏡下肝切除術後の重篤な合併症(Clavien-Dindo Grade3以上)の発生は0%でした。術後の鎮痛剤の必要量も半減し、大半は術後1週間以内に退院可能で患者さんにも満足していただいております。

膵癌に関しても2016年より腹腔鏡下膵体尾部切除術が保険適応となり、当院でも実施いたします。

術前3D-CTによるシミレーションの図 膵癌に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術の図

 
 

【膵切除後の合併症対策】
膵体尾部切除術におけるClip on Staple法の図

膵癌は診断時に既に遠隔転移等により手術不能なことも多く、手術可能な症例は約2割程度といわれています。手術が施行されても再発率が高いことが問題ですが、近年では切除可能な症例でも術前・術後に化学療法を行うことで予後が改善することが明らかとなっています。しかし膵癌手術時の一番の問題は膵切除特有の合併症です。膵液瘻は腹腔内出血、敗血症等の重篤な合併症の引き金となり、高い周術期死亡率(2.9%: NCD Annual Report2012)の原因となっています。合併症が発生すると退院までに要する日数も延長し、術後補助化学療法が早期に開始できなくなることも予後を悪化させます。そのため、膵癌術後の合併症をいかに減らすかが重要です。前任地では様々な独自の工夫(膵体尾部切除術におけるClip on Staple法等)を行うことで臨床的膵液瘻の頻度を4.5%、重篤な合併症(Grade3以上)を0%にまで低下させることができました。また、我々が開発した膵体尾部切除術におけるClip on Staple法に関しては、その有効性・安全性を更に確認するため、当院が中心となり全国約20の施設・大学病院にて多施設共同ランダム化試験を実施する予定です。

【胆道良性疾患の手術】

胆のう結石症・急性胆嚢炎等の胆道良性疾患に対しては、基本的に全例腹腔鏡手術の適応としております。特に高度炎症を伴った急性・壊疽性胆嚢炎に対しては早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術を積極的に行っています。総胆管結石はまず内科にて内視鏡的に胆道採石を試み、不可能であった場合は腹腔鏡下胆管切開採石術を施行します。

 

一般外科

【鼠径ヘルニア】
一般に“脱腸”と呼ばれる良性の病気です。小児と成人では原因が違い、治療法も異なります。小児の鼠径ヘルニアは自然に治るケースもありますが、成人鼠径ヘルニアは加齢とともに下腹部から足の付け根(鼠径部)の組織が脆弱になり、その部分からお腹の中にある腹膜が袋状に飛び出してくることによっておこります。鼠径ヘルニアには、脱出する部位により、外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類があります。
鼠径ヘルニアの種類と性状の図


【尿膜管遺残症】
胎生期の尿膜管の退化が不完全な場合に、遺残した尿膜管(尿膜管遺残)が原因となり、臍から尿の排泄がみられたり、感染をおこして化膿することがあります。症状の多くは、臍よりの持続する排膿や臍部痛などです。 症例は44歳男性、臍下左側の腹壁深部に尿膜管遺残による膿瘍を形成し、強い臍部痛と臍よりの排膿を認めました。臍部痛も強く、局麻下に排膿もままならない状態でした。腹腔鏡下に腹腔内より腹壁の膿瘍と遺残尿膜管を切除し、早期に治癒が可能でした。
尿膜管の図


 

化学療法

当科では、食道、胃、大腸、肝・胆・膵の悪性疾患に対して、化学療法(抗癌剤治療)を行っています。治療の内容としては、進行再発症例に対する化学療法のほか、治療後の根治手術のための腫瘍の縮小を目的とした術前化学療法、また根治切除術後の再発予防を目的とした術後補助化学療法があります。


【外来化学療法】
ほとんどの治療は、当院2階にある外来化学療法室で、患者さんに外来通院していただき施行しております。特に近年その罹患数が増加している大腸癌の治療では、様々な分子標的薬や経口の新薬の出現により、平均治療期間が約30カ月に達する中で、患者さんには可能な限り通常の日常生活を送っていただきつつ、治療との両立を図っていくことを常に目標としております。治療には留置CV(中心静脈)ポートと携帯型リザーバーを用いて、通院での治療が可能です。外来化学療法室で専任のスタッフが2人常駐し、治療中の患者さんのケアをさせていただいています。


【術前化学慮法とadjuvant surgery】
従来は切除不能とされていた、stage IVの胃癌、大腸癌に対しても、化学療法を施行し、病変の縮小が図れれば、根治手術を行うadjuvant surgeryも行っております。大腸癌の肺、肝転移、局所再発などに対しては従来より積極的に手術を行い、良好な成績を得ていましたが、当院ではstage IVの胃癌、大腸癌に対してもadjuvant surgeryを行っており、長期生存症例も出現してきています。今後も適応を慎重に判断しつつ、進行症例でも根治を目指して、治療を行っていきたいと考えております。

診療内容についてのお問い合せ先

福岡市民病院 外科 TEL:092-632-1111(代表)