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救急・その他

IVR治療


IVRとは

interventional radiologyとは従来外科手術的に行っていた診断や治療を、各種の放射線診断学的な手法を用いて、より低侵襲的に行おうとするものです。"intervention"は「間に入ること」、「調停」、「仲裁」、「干渉」と訳されます。interventional radiologyは日本では"IVR"と略されます。今日では学生用の教科書でも"IVR"と記載され、一般化していますので,本稿でも"IVR"と略します。ちなみに中国では"介入放射"と称されています。さすが漢字の国でIVRの実態をよく言い得ていると思います。

肝腫瘍の塞栓術


正常の肝細胞は門脈血と動脈血によって栄養されていますが、肝腫瘍は動脈血のみで栄養されています。そこで動脈を塞栓すれば肝腫瘍への栄養を遮断して腫瘍のみを壊死に陥らせることができます。通常まず抗がん剤と油性造影剤の懸濁液を肝動脈に注入し、その後ゼラチンスポンジ細片を注入して動脈を塞栓しています。もちろん破裂肝臓癌の止血に対しても塞栓術がきわめて優れた治療法です。

肝動注ポート留置


肝腫瘍に対しては抗がん剤の静脈注射で全身的に治療するよりも、肝臓に限定して肝動脈内に抗がん剤を動注する方が治療効果は向上し、全身的な副作用は軽減できます。肝動脈ポート留置は経皮的に抗がん剤が動注できるようにするための方法です。十数年前までは肝動注ポート留置は開腹して挿入されるのが普通でしたが、現在はほとんど経皮的に施行されています。肝動脈へのアプローチには大腿動脈経由と鎖骨下動脈経由に大別され,当院では鼠径部を小切開し、下腹壁動脈(下腹部の細い動脈)をカットダウンに準じた方法でカテーテルを挿入しています。カテーテルの留置方法には投げ込み法、GDA(Gastro-Duodenal Artery)コイル法などがあり、当院ではGDAコイル法によるポート留置を標準としています。GDAコイル法ではカテーテルの先端は胃十二指腸動脈ですので、カテーテルの先端が肝動脈を直接刺激することはなく、薬剤は総肝動脈に位置しているサイドホールから流出するので、肝動脈の長期開存が期待できます。胃切除後で胃十二指腸動脈がカテーテル留置に使えない症例などGDAコイル法が不可能な症例(約1/3の症例)では投げ込み法でカテーテルを留置します。

B-RTO


胃静脈瘤は破裂すると大量の消化管出血を来たします。胃静脈瘤の破裂予防,あるいは破裂静脈瘤の再破裂の予防として開発されたのがB-RTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術Balloon-Occluded Retrograde Transvenous Obliteration)です。この治療法はmade in Japanで、現在は胃静脈瘤の治療の主流となっています。大腿静脈からバルーンカテーテルを胃静脈瘤の排血路(ほとんどの症例では胃腎シャント)に挿入し、バルーンで排血路の閉塞させて胃静脈瘤まで逆行性に硬化剤を注入します。胃静脈瘤は硬化剤で閉塞します。当院でB-RTOを開始して数年は手技にかなりの困難を感じていましたが、B-RTOに適したカテーテルやシースが開発され、症例を重ねてきてほとんどの症例で胃静脈瘤の塞栓に成功しています。

PTA


近年の高齢化と食事の欧米化のため閉塞性動脈硬化症(ASO)が増加しています。経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty, PTA)はバルーンカテーテルなどを用いて狭窄した血管を拡張させる治療法で、最近多くの場合はこの後にステント(金属製のメッシュ)を留置しています。腸骨動脈領域では確立された治療法です。