腎・泌尿器センター

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センターの特徴

 現在数多くの腎センターが全国に設置されていますが、そのほとんどは成人の腎臓病や腎不全患者に対する透析医療・腎臓移植を行っている施設です。小児医療には発育や発達などの小児の特殊性に習熟したスタッフが必要ですが、小児専門病院に腎センターは現在設置されていません。様々な診療科・スタッフによる包括的な医療が受けられる小児医療専門施設において、先天性の腎・泌尿器疾患にも比重を置いた総合的な小児腎・泌尿器センターの設置が望まれてきました。
 日本人の疫学調査では、成人人口の12.9%、約1,330万人が末期腎不全の危険性がある慢性腎臓病患者と推定され、新たな国民病として早期発見と対策が喫緊の重要課題と認識されています。小児の疫学調査では、中等度以上の腎機能障害を有する慢性腎臓病患者の68.3%を先天性腎尿路形態異常(congenital anomalies of kidney and urinary tract: CAKUT)が占めています。学校検尿は小児期腎疾患の予後を大きく改善させましたが、尿異常の少ないCAKUTの早期発見には不十分で、CAKUTの早期発見と治療が大きな課題となっています。そのためには熟練した小児泌尿器科医による外科治療に併せて、小児腎臓内科医も協働した総合的な治療体制が必要となります。当院腎疾患科外来において腎保護療法を行っているCAKUT患者数も増加しつつあり、2016年度は2014年度の約2倍に増加しています。
 さらに当院泌尿器科では難易度の高い尿道下裂形成術、性分化疾患に対する外陰部形成術、異所性尿管瘤や膀胱外反症など複雑な尿路奇形を含めた高度な技術を要する手術を数多く手掛けています。特に力を注いでいる尿道下裂の手術件数は年間90例(2012年のデータにて本邦最多)を数え、福岡都市圏を問わず九州全域、広島以西の西日本各地から患者さんからの問い合わせがあります。
 当センターでは今後地域に密着した専門的かつ高度な医療の提供に、取り組んでいきたいと思います。

センター長より

 当センターは小児専門病院に初めて設置された先天性腎・泌尿器疾患に対して、熟練したスタッフの下で総合的な治療が受けられる小児専門のセンターです。小児腎・泌尿器疾患の多くは慢性疾患であり、適切な治療を受けることはもちろん、成人期医療への移行も重要で、センター施設から地域連携を通した円滑な成人医療施設への情報提供も必要となります。
 そのため腎疾患科と泌尿器科の医師を中心として、新生児科、内分泌代謝科、脳神経外科、整形外科、総合診療科、小児感染症科、集中治療科の医師、習熟した小児医療スタッフ(看護師、栄養士、薬剤師)が診療科や職種の枠組みを超えた医療チームとして、より密度の高い集学的、包括的な腎・泌尿器診療を行います。
 上部尿路・下部尿路・性器の外科的診療、形成手術、尿路管理は泌尿器科が担当し、糸球体腎炎などの糸球体疾患に対する内科的治療やCKDの腎機能保護、人工透析を含む腎不全の診療は腎疾患科が担当します。さらに新生児の診療は新生児科と協同で、また二分脊椎患児の神経障害には脳神経外科、整形外科と協力して診療を行います。性分化疾患や代謝異常による腎障害、腎機能障害に伴う内分泌異常では内分泌代謝科と協力し、尿路感染症や病原性大腸菌感染に伴う溶血性尿毒症症候群の診療などでは小児感染症科や総合診療科と協力して診療にあたります。また急性血液浄化などが必要な重篤患者はハイケアユニットでの集中治療を行うこともあります。さらに患者との勉強会(現そらまめ会)などを通した患者・家族への啓発活動や、地域医療への協力・指導、ならびに小児腎・泌尿器疾患の臨床研究も行っています。

腎・泌尿器センター長 山口 孝則