川崎病センター

センターの特徴

川崎病は日本人が発見した病気で、発熱と発疹、リンパ節腫大などが主要な症状で、後遺症として冠動脈瘤を残すことがあります。川崎病は先進国で最も頻度の高い小児の後天性心疾患で、とくに日本における罹患率は世界一です。 1年間に日本全国で約1万5000人の子供さんがかかりますが、現在もなお患者数が増加しています。しかし、その原因は未だに不明で、一刻も早い原因の究明と予防を含めた対策が待たれているところです。

川崎病の標準的治療法としてガンマグロブリン大量療法が行われますが、その17%は不応例(ガンマグロブリンが効かない人)で、いくつかの治療法はありますが、確立された治療法がまだありません。

川崎病の診療には、発熱や発疹などの症状があるので感染症科や免疫科、冠動脈に主に病変ができるので循環器科、ガンマグロブリンなど様々な治療が効かない場合に血漿交換が必要となることがあるので集中治療科というように、様々な専門の医師が関わる必要があります。また医師だけでなく看護、福祉など様々な職種も関わります。川崎病の原因解明や治療には様々な専門の医師、多様な職種が関係しなければなりませんが、集学的、包括的に診療できる組織は、現在日本のどの病院にも設置されていません。また、川崎病の病因・病態解明に基づく新規治療・予防法の開発の研究班(厚生労働科学研究委託費難治性疾患等実用化研究事業)で、当院が中心になって、いまだ不明の川崎病の原因の究明や診断方法の開発、不応例や重症例に対するより良い治療の確立を目指しています。

センター長より

小児専門病院である当院の川崎病センターでは感染症科、総合診療科、循環器科、集中治療科などの専門診療科の医師が、より精度の高い集学的、包括的な川崎病診療を行います。病棟では川崎病に習熟した看護師が看護を行います。急性期の診断・治療は感染症科、総合診療科、循環器科が行います。重症例・難治例は集中治療科も加わり包括的に治療します。冠動脈瘤が残ってしまった例では循環器科が心臓カテーテル検査やMRI等さらに詳しい検査を行います。冠動脈病変を有する川崎病患者は長期にお薬を飲み続ける必要があり、また成人では動脈硬化の進行がより早く進む可能性もあり、成人期フォローアップも地域連携として九州大学病院との連携によるトランジッショナルケア(小児科から成人の内科への移行期医療)により確実に移行できます。

川崎病はそれぞれの患者さんによって症状の程度やお薬の効き方、合併症・後遺症の有無や程度等が異なります。それぞれの患者さんにとって一番いい治療をスタッフそしてご家族の方とも力を合わせてすすめていきます。

川崎病センター長 水野 由美

実績

2017年6月イギリス免疫学会雑誌に受理

Calcineurin inhibitors exacerbate coronary arteritis via the MyD88 signaling pathway in a murine model of Kawasaki disease. Kenji Murata, MD, Yoshitomo Motomura, MD, PhD, Tamami Tanaka, PhD, Shunsuke Kanno, MD, PhD, Takahisa Yano, PhD, Mitsuho Onimaru, DDS, PhD, Atsushi Shimoyama, PhD, Hisanori Nishio, MD, PhD, Yasunari Sakai, MD, PhD, Masatsugu Oh-hora, PhD, Hiromitsu Hara, PhD, Koichi Fukase, PhD, Hidetoshi Takada, MD, PhD, Satohiro Masuda, PhD, Shouichi Ohga, MD, PhD, Sho Yamasaki, PhD, Toshiro Hara, MD, PhD*. Clin Exp Immunol. 2017, June accepted


2017年6月アメリカ心臓協会(AHA)雑誌に受理

Clarithromycin plus intravenous immunoglobulin therapy can reduce the relapse rate of Kawasaki Disease, a phase 2, open-label, randomized control study.

Authors: Etsuro Nanishi, Hisanori Nishio, Kenichiro Yamamura, Hidetoshi Takada, Mitsuharu Fukazawa, Kenji Furuno, Yumi Mizuno, Kenjiro Saigo, Ryo Kadoya, Noriko Ohbuchi, Yasuhiro Onoe, Hironori Yamashita, Hideki Nakayama, Takuya Hara, Takuro Ohno, Yasuhiko Takahashi, Ken Hatae, Tatsuo Harada, Takayuki Shimose, Junji Kishimoto, Shouichi Ohga, Toshiro Hara.

Journal of American Heart Association, 2017, June, in press

現在全国20施設で250例を目標に『バイオフィルム制御薬クラリスロマイシンの川崎病再燃抑制効果に関する検証的臨床試験-多施設共同ランダム化比較第3相試験-CLARITY study』を実施中


2016年イギリス免疫学会雑誌に受理・掲載

川崎病の病因・病態の総説:Kawasaki disease: a matter of innate immunity

Toshiro Hara, Yasutaka Nakashima, Yasunari Sakai, Hisanori Nishio, Yoshitomo Motomura, Sho Yamasaki. Clin Exp Immunol. 2016 Nov;186(2):134-143. doi: 10.1111/cei.12832. Epub 2016 Aug 3.