てんかんセンター

センターの特徴

てんかんは患者数の多い病気で、我が国では人口の約0.8%にあたる約100 万人の患者数が推定されています。どの年代にでも発症しますが、特に小児と高齢者に発症することが多いとされています。20~30%の患者では薬物治療に抵抗し、2~3 種類の抗てんかん薬を用いた治療が2年以上行われても発作が抑制されない、いわゆる難治てんかんでは、脳神経外科での治療(外科治療)の適応について考慮されなければなりません。

小児期に発症するてんかんは、成人と比較してその原因・発作症状・予後が様々であるため、より正確な診断が必要です。また、発作症状だけでなく、他の身体症状や発達障害などの精神症状を併存し、その治療を併せて必要としていることも多く見受けられます。さらに、小児難治てんかんは外科治療が有効なことが多く、とくに精神運動発達を伴う小児では、発症から早期に手術を考慮した上で発作改善が図られなければなりません。さらに、てんかん重積状態に対する急性期の集中治療、日常生活や学校生活における管理、心理的なサポートも必要です。このように小児のてんかん診療は集学的且つ包括的でなければなりません。

てんかんセンターは、てんかんの包括的な診療を行える高次医療施設と位置づけられています。我が国では、大学病院や同規模の総合病院を中心に、約30のてんかんセンターが設置されていますが、小児専門病院に設置されたてんかんセンターはほとんどありません。こどもは小児ケアに習熟した小児医療施設で総合的、包括的に医療を受けるのが最もよいとされています。てんかん診療においても小児医療専門施設における包括的てんかんセンターの必要から当センターを設立しました。

センター長より

小児神経科、脳神経外科、こころの診療科、総合診療科、集中治療科の医師と小児医療に習熟した医療スタッフ(看護師、臨床心理士、脳波検査技師、栄養士、薬剤師)が、診療科や職種の枠組みを超えた医療チームとして、より精度の高い集学的、包括的なてんかん診療ならびに併存・合併症の診療を行います。難治てんかんに対しては、長時間脳波ビデオ検査、MRI, CT, SPECT等の画像検査や神経心理検査を行った上で、外科適応の判断、そして外科治療を行います。外科治療は開頭手術によるてんかん焦点切除や脳梁離断術に加え、開頭手術の必要のない迷走神経刺激療法(VNS)にも多くの経験があります。また、外科治療の対象とならない場合は、治験薬を含む新薬による治療やケトン食などの特殊治療を行います。またけいれん重積状態や急性脳症に対してはハイケアユニットでの集中治療を行います。さらに、地域におけるてんかん診療連携ネットワークの構築、地域の診療医の教育、患者家族等の教育や社会啓発活動、てんかんの臨床研究も行います。

てんかんセンター長 森岡 隆人